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「介護現場のストレスケア」その2(個人任せにしない)

2010年05月01日

ストレスケアを個人任せにしない

責任感の強い人ほど「うつ」になりやすい

 介護現場でアンケート調査をすると意外に多いのが、職場の人間関係によるストレスということだ。利用者との関係におけるストレスは、介護特有のストレスなので、その対策は専門知識の習得からということになる。しかし、職員同士となると事情はさておき、対策を考えなければ、できる人ほど「うつ」になりやすいという検証結果がある。まじめで責任感の強い人が多い介護現場では、運営そのものに支障をきたす可能性もある。ここで考えていただきたいのは、今まで、私たちは何か問題が発生すると、個人の力に委ねているために、最終的な責任も含めて個人責任主義に走りがちであるということだ。リスクマネジメントは「人は必ずミスを犯してしまう」前提からスタートし、そのミスが事故につながらないように、組織で仕組みづくりをすることが基本になる。決して個人の力量管理がマネジメントではないということに気づくことが、ストレスケアについてもマネジメントの最初の一歩だと言える。

人は誰でもストレスを抱えるという考えを前提に

 前述の通り「人は誰でもストレスを抱える」という考えを前提とした、組織全体の仕組みづくりが必要である。これは、結果的に人材力を高め、今後の厳しい経営状況下でも、利用者の目線に立ったより良いケアが可能となり、職員はより充実した仕事や生活を得て生き生きと輝くための仕組みである。
 現在、長い不況が続く中でも、介護事業においては、就労人口の増加が見られる。それを反映して、以前このような責任者の話を聞いた。「今、人はいくらでも余っている、仕事をしない職員や文句ばかり言う職員は、いつでも辞めてもらって結構、代わりはいくらでもいるから・・・」、どのように感じるであろうか。実は経済的な観点で見ても、募集費・研修教育費・責任者の時間的負担まで考えると、最終的には人を育てることの方が、効率的なのである。その意味で、今後は、仕組みづくりの中で介護のことや高齢者の心理をしっかりと習得した専門家による職員のストレスマネジメントを定期的に取り入れていくことが必要になるはずである。

「くよくよするな」「もっと頑張れ」は禁句

 介護現場でも、一般企業と同様に上司との関係、同僚との関係、部下との関係がある。ストレスマネジメントでは、さらに職員の家族との関係や友人、配偶者や恋人、その他さまざまな登場人物との関係を加えて考えていく必要がある。たまに、こんな責任者を見かける。「外(家庭や友人など)のトラブルを職場に持ち込むな。 我々は介護のプロなのだから心して業務遂行するように!」 この激励のあと、多くの職員さんは、その通りまじめに業務遂行する。いつも頭の下がる思いがする。介護現場で気になるのは、休憩時間などにため息混じりに吐く言葉だ。「腰も肩もパンパンになってしまって辛い・・・。」「最近、胃の調子が悪くて・・・。」「最近、便秘(下痢)がひどくて・・・。」「眠りが浅くて、疲れが取れない・・・。」など多くの不定愁訴(ふていしゅうそ/明白な器質的疾患ではなく、さまざまな自覚症状を訴える状態)を感じている。このような状態で利用者への援助をしていれば、トラブルを起こす原因となる。スキルを学ぶことも重要だが、その効果を十分に引き出すための、組織的な仕組みづくりを考えておかなければ、根本的には解決しない問題なのである。
 「そんなことで、くよくよするな!」とか、「根性がない、我慢が足りない、もっと頑張れ」などの声かけは止めたほうが良い。その分、ストレスの影響を認めて、できる限り早く対処するために、各部署のリーダーへの研修を徹底して、職場内での悩みやストレスについて、周囲が早く気が付くようにする、本人にも気付かせるように話をするなどの仕組みを作るようにしてはいかがなものだろうか。それは、風邪を引いた職員を誰もが発見できるのと同様に、ストレス過多で心の風邪を引きそうな職員も早期に発見することである。この環境作りが大切だ。 

(監修:アイエムエフ研究所)

以上