オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「介護現場のストレスケア」その4(ストレス反応)

2010年07月01日

燃え尽き症候群について

 介護職の方が陥りやすいのが「燃え尽き症候群」いわゆるバーンアウトです。バーンアウトはストレス反応のひとつであり、調査によりいくつかの特徴が判明している。まずは、消耗感(疲れ果てる、または精根尽きた感覚)、次にご利用者への消極性や非人間的な対応(利用者との接触を避けたいと感じる、人ではなく物として扱っている感覚)とつながり、さらに達成感の喪失(どんな努力も報われないと思う感覚)が顕著となり、ついには職場として困る事態が増加することになります。(事故に繋がるイライラ・ミスが増え、欠勤が増え、転職願望が強くなるという経過をたどる。)
 次に、このようなストレス反応を示す人たちの人間的な特徴を検証してみよう。その特徴を簡単にまとめると、「人が人にサービスを提供する職種」いわゆるヒューマン・サービス職といわれる職種(介護職・看護職・ソーシャルワーカー、教師など)に多く見られること。次に完璧主義や理想主義である人、何にでも首を突っ込みたがる人などが陥りやすいといわれている。そして、「弱い人、困っている人を援助したい」という理想を求める人は、特にバーンアウトしやすいといわれている。しかしながら、理想を追い求めない人が良いのかというと、そういう人は、そもそもこの職種には向かないのである。これは、ヒューマン・サービス職におけるジレンマでもある。


その他のストレス反応・・・職場内での「うつ」

「うつ」も、代表的なストレスに対する反応です。「外では元気、職場内では元気がない」という状態が多く見られます。自分の周りを見回して、こんな人がいればその人は、職場内「うつ」の可能性が高いと考えられる。たとえば「休日明けの出勤が苦痛に感じている人」、「会社に行くのがおっくうになっている人」、「上司の態度が気になって、声をかけられると緊張してしまう人」、「集中力に欠けていて、ミスを連発する人」などである。ここに行くまでには、それなりの経過をたどるのが通常である。第1段階として「疲労感(仕事を終えるとぐったりする)」、第2段階として「怒り(少しのことで腹を立てたりする)」、第3段階は「緊張感(上司の前ではとても緊張する)」第4段階として「憂うつ感(人に会うのがわずらわしい)」などの各段階を経て「職場内うつ」と呼ばれる症状に陥ってしまうのである。
 この状態は、バーンアウトに似た一定の経過をたどりながら、無意識の行動として現れてくるようになる。本人にとって、「消耗感」や「疲労感」は、意識できている時の状態であるが、「消極性」や「怒り」そして、「達成感の喪失」や「緊張感」は、徐々に無意識的になり、「職場として困る事態」や「憂うつ感」の段階では、ほとんど本人は無意識のうちにそれに付随する行動をとっていることが多い。


組織的な計画と適正なプログラム導入

 では、このような状態に陥った場合、本人はどのようにして気づくのであろうか。それは、個人差があるものの、体調の変化やミスの連発、事故やトラブルの発生によって気づくことがほとんどではないだろうか。本人ばかりではない、職場の同僚や上司もほとんど気づいていない。それは、ヒューマン・サービス職の特徴でもあるとおり、完璧主義や理想主義である人、「弱い人、困っている人を援助したい」という理想を求める人は、周囲の人に迷惑をかけることを嫌うことや、周囲の支援は慰めだけと感じていること、そして何よりも、その周囲の支援を利用しないことが、これらストレス反応の発見を遅らす大きな原因となっているのである。もう少し厳しい言い方をすれば、「ストレス」であるとか、「こころの健康づくり」という人間にとって大切なものを理解していない結果であるといえる。これらの理解なしに、人事面や経営面でのコンサルテーションを受け、制度的な整備やルール作りだけに走ってしまった場合は、労多くして効果が少ない。
 まずは、基礎的な知識の積み上げから始めることが望ましい。その際にも、まずは経営責任者が研修を受けること、そして組織的な計画を立て、責任者とともに運営を司る担当者を複数人選出して、定期的な研修とその担当者自身のストレス対処をさせていくこと。そして、外部からの専門家を定期的に招き入れる、あるいは専門家の研修を受講すること。ただし、その専門家も、介護や高齢者に精通した(特化した訓練を受けている)ものでなければ、効果は薄れる。「こころの健康づくり」という課題は、カウンセリングだけでは解決しない。もちろん、研修だけでも同様である。しっかりとした、組織的な計画に基づいた、プログラムの導入が望まれる。

(監修:アイエムエフ研究所)

以上