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「介護現場のストレスケア」その23.(ストレスマネジメントと適切な仕事を引き出す活動)

2011年12月15日

 前回は、適切に仕事が成し遂げられるためのポイントについてまとめ、さらに適切な仕事が増えるに従いストレス状態を軽減させることの関係性について述べた。今回は、この「ストレス」とそのマネジメントについて考えることにする。


ストレスとは何か?

 そもそも「ストレス」とは何であろうか?基本に戻ってみたい。 「ストレス」という言葉は、一般的には「最近仕事が多くてストレスが溜まってきた」、「同僚との仲がうまくいかなことがストレスである」、「ストレスが溜まりやる気が出ない」というような場面で使われることが多い。これらの使われ方をよく見るとそれぞれ"ストレス"という言葉の使われ方が少しずつ異なっているということがお分かりいただけるだろうか? 最初の例では「多忙」→「ストレス」という流れで、原因がありその結果ストレスが生じている。二つ目の例では「同僚との不和」=「ストレス」となっている。最後の例は「ストレスが溜まり」→「やる気が出ない」という状況になっている。心理学では最初の例のような原因があり、その結果生じてくるものを「ストレス反応(状態)」、2番目の原因そのものを指す場合を「ストレッサー」と呼ぶ。また、3番目の例はストレス反応の影響を示しているのである。


ストレス反応と対応

 それでは具体的な事例と共に、もう少し深く考えてみよう。 ある特定のストレッサー(原因)は、すべての人またはすべての場合において、ストレスの原因になるのだろうか? その答えは否である。例えば、認知症のある利用者が同じことを何度も話しかけてくるのに対応するような状況を想定してみると、その状況にうまく対応できずストレスを抱えるようになる人もいれば、認知症についてよく知っており適切な対応ができるために、何の問題にもならない人もいる。このようにその人の出来事の受け取り方で、ストレスになるかどうかは変わるのである。また、ストレスの原因になる要素であっても多くの場合それを解決しようとする様々な試みがなされるのが普通である。先ほどの例では、適切に対応できている人に教えてもらうことや手助けをしてもらうなどが考えられるが、時には憂さ晴らしに飲みに行き気分転換を図るようなこともその試みのひとつである。それでもなお解決されない場合にストレス反応となっていくのである。これを簡単な図に示すと次のようになる。


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ストレスマネジメント

 ストレスマネジメントという場合、個人が自分自身のストレスについて行う場合と、組織的におこなう場合がある。ここでは組織的ストレスマネジメントについて取り上げることにする。組織的ストレスマネジメントには、通常3つの段階があると考えられている。それはA.ストレス反応/状態にならない/なりにくい環境操作、B.ストレス状態の把握と早期対処、C.ストレス反応/状態が見られるようになった者への対応、である。 Aは上図の個人差と書かれている部分や③の解決の試みをサポートするような仕組み作りであり、その対応策として研修やミーティングが取り入れられることが多い。Bは④の状態を測るとともに①のストレッサー(原因)になり得る状況を把握することを指し、主にストレス調査などにより状態把握をして必要に応じ対処することが多い。Cは④のストレス反応/状態が進んだ場合に休養を取る、治療・カウンセリングを受けるなどの方法のことである。
 これらの対策がとられることも重要であるが、前回述べたように、ストレス状態と適切な仕事がなされる状況というのは、一方が増えれば一方が減るというような逆相関関係にあると考えられる。つまり、ストレスマネジメントの活動の多くは適切な仕事を引き出すための活動と明確に重なるのである。例えば上述のAの対策として取り上げた研修で認知症についてとりあげ、十分にその知識や対応が職員間に伝わったとすると、認知症を持ったある人が、なぜそのようなことをするのかということを職員はよく理解できると共にそれに対しどう対処したらよいかということがわかるようになり、ストレスの原因となることは減少すると考えられる。同時にそのような知識を持つことでそれまで認知症の人に対し十分に対応できなかった人ができるようになり、より適切なケアを提供できるようになるだろう。


どうすれば効果が上がるのか?

 ここまで読んで、「これまで研修はやってきたがなかなか効果が上がらない」という方も多いのではないだろうか? 同様に、「ストレス調査やカウンセリングシステムなどを導入したが一向にストレスを訴える職員は減らないし問題のある職員もそのままである」という事業所もあるのは事実である。実は、これらの活動はストレスマネジメントでも適切な仕事を引き出す上でも大変重要ではある。しかしながら、ただ単に計画して実施すれば効果が上がるというものではないのである。ではどうしたらよいのだろうか? どの事業所からも、この質問が多く解決に向けて一緒に取り組んでいるのである。そこで、次回からは具体的な例を挙げながらストレスを低減させ適切な仕事を引き出していく方法について考えていくことにする。


(監修:アイエムエフ研究センター)