オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「介護現場のストレスケア」その32.(介護職としての成長過程とストレス1)

2012年09月15日

 これまでストレス状態の原因と影響とストレスマネジメントについて「個人的なレベル」と「組織的なレベル」の両方から検討をすることに触れてきました。今回から、一人のスタッフが初めて仕事に就いてから経験を積みさまざまな状況に遭遇し、介護職として成長していく過程を追いながら、どのような時にどのようなストレスマネジメントが有効かを考えていきたいと思います。では最初に、成長のそれぞれの過程で直面しやすい問題やストレスにはどのようなものがあるかを考えてみることにします。


経験の積み重ねによって感じるストレスは異なる

 このコラムをお読みになっているあなたは、介護に関わる仕事を始めて何年目でしょうか。また、どのような立場で現在介護に携わっていますか。そして、日頃から仕事に限らずどのような問題を感じているのでしょうか?
 これから、順を追って思い出してみてください。まず、あなたが介護に関する仕事を始めたころの悩み(困難を感じたことなど)をひとつでも思い出してみてください。初めて事業所に就職した頃は、右も左もわからず、とにかく戸惑っていたという思い出はありませんか?目の前にいる利用者さんが何をしたいのか、自分が何をしたら良いのか分からず頭を悩ませませんでしたか?
 次に、それから2~3年後のあなたを思い出してみてください。担当する利用者さんについて、ケアプランをもとに介護計画を考えれば考えるほど、すべてが必要に見えてきて何をしたらよいかわからなくなったということはありませんか?また、職場に慣れてきたこともあり事業所内の様々な雑用も増え、疲れ果てていた時期だったかもしれません。さらに、上司や同僚と意見が合わず「こんな仲間とはもう一緒に仕事なんかしていられるか!」と考えたことはなかったでしょうか?
 そうこうしているうちに入職して5~6年またはそれ以上が経過したあなたは、グループの管理者・リーダーになり部下を指導することや相談に乗ることも多くなっていたかもしれません。
 このように今振り返ってみると、その時々でさまざまな悩みがあったということにお気づきでしょうか。言い換えれば、私たちは同じひとつの仕事であっても、そのときの立場や経験の積み上げによって、問題のとらえ方も変化していくものだということが理解していただけると思います。まるで、子どもが次々にいろいろなことを覚え成長していくのと同じように、私たちも職業人として成長しているということになります。
 そうなると、その時々で抱えていた問題の中には、その時期特有なものが含まれているはずです。また、その時期特有の問題があるということは、感じるストレスについても同じようにその時期特有のものがあるということができます。
 もちろん、時期などに関係なく、いつでも感じているストレスもあります(これについては「普遍的なストレス」ということになります)。しかし、新人の時、数年後、中堅・・・と前述したようにその時期には多くの人が共通して感じることのあるストレスもありそうです。
(もちろん個人差があり、感じる人もいるし感じない人もいる。また時期についても前後することがあるでしょう。)


新人へのストレスのマネジメント

 新人が入職してから、2~3か月が経過すると、最初の緊張がほどけてくるのと同時にやる気がなくなってしまうことや、先輩にちょっと注意されただけで落ち込んでしまうこと、中には仕事中でも何をしたらよいかわからなくなり、ボーっと立ちすくんでしまうような人も見かけます。
 このような時、多くの新人たちは「これではいけない」、「なんとかしなくては・・・」と焦るものの、どうしたらよいか分からず、落ち着かない状態で過ごすことが多いようです。また、そのような状態ですので仕事上でも、よくミスを犯してしまいます。そして余計に自信をなくすという悪循環に陥ってしまっていることもあるようです。
 それに対し、先輩や上司、または事業所としてはどうしたらよいのでしょうか?また本人はどうしたらよいのでしょうか?下の表に例を書き込んでみました。皆さんの中には、他の方法を記入される方もいらっしゃるかもしれませんが、コツはできるだけ「具体的に」「誰の目からも見えること」を記入することです。
 次回も、新人へのストレスマネジメントの取り組みについて検討していきます。

表.新人のストレスのまとめ (例)

課題・問題点

入職の新人に元気がない

 

個人的なレベル

組織的なレベル

原因

新しい仕事が始まり慣れない仕事をしている、
実家を離れ一人暮らし、食生活・睡眠リズムなどの生活の組み立てが難しい

制度改正があり新人対応にこれまでほど時間を割けなかった
主任クラスが2名長期療養中で人手不足

ストレス状態の影響

落ち込みやすい、よく泣いている、ボーっとしている、あせっている
仕事でのミスが多い

ミス・事故の処理が必要だが何もできず、利用者からの苦情も増える
上司もつい声を荒げてしまう(イライラしている)

ストレスマネジメント

ストレスにつながる
出来事のマネジメント内容

先輩に積極的に質問をする
毎日自分ができたことを確認する
規則正しい生活のプログラムを立て、実行する

新人と直接の上司との2週間に1回以上の定期的な個人面談
仕事中に定期的に(例えば2時間に1回以上先輩が声をかける など)

↑両方に関連するマネジメント内容↓

先輩や同僚の体験、考えなどを聞く

ミスを見ても普段通りの声で話しかける
改善が必要なことは、後で丁寧に解説する。

ストレス状態の
マネジメント内容

週末はしっかりと休養する
週に一度は遊びに行く

状態を注意して観察
必要な時には専門医やカウンセラーを紹介する

(監修:アイエムエフ研究センター)