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「介護現場のストレスケア」その35.(管理職としてのストレス1)

2012年12月08日

 これまで3回にわたって「新人のストレスマネジメント」について説明してきました。今回からは、管理職・リーダーのストレスについて触れていきます。


初めての管理者・リーダー職とストレス

 管理者・リーダー職の経験をお持ちの方は、初めて管理者・リーダーに就いた時に、戸惑うことや困難、あるいは負担を感じられたことはなかったでしょうか?その戸惑いや困難、負担を感じたこととはどんなことでしたか?

 また、その戸惑いや困難、負担は最終的にはどのようになりましたか? 良くお聞きするのは「あの時はものすごく大変だったけれど、振り返ってみるとあの経験によって、自分の殻を破ることができた。または自分を一段と成長させることができた。」 などです。 もしかしたら、意外に多くの管理者・リーダーがこんな風に感じているかもしれません。

 この段階でのストレスを考える際には、次のようにその前の段階と比較するとわかりやすいかもしれません。以前解説をした「新人の頃のストレス」について振り返ってみると、これらの段階では自分自身の事由がストレスの原因の中心であることが多いのです。しかし、管理者・リーダー職に就いたころに感じるストレスの原因は、必ずと言ってよいほど他の人との関係から生じているもののウェイトが高いことに気づきます。たとえば、自分の仕事に加えて、他の職員(部下)の仕事もマネジメントしなくてはならない(=「マネジメント」という「他人の世話」までしなくてはならない)、または自分自身がたくさんの仕事を抱え込んでしまっている(=部下や他の人に仕事を上手く分担してやってもらえない)などです。

 つまり、管理者・リーダー職に就いた当初は、それまでの経験とは質の異なった、全く新しい出来事にぶつかる時期だと考えることができます。全く初めてのことをするわけですから辛くて当然ですし、だからこそ、それを乗り越えた時に「殻を破ることができた」感を得られるというわけです。


役割によるストレス

 それでは、具体的にはどのようなストレスが生じるのでしょうか?一言で管理者・リーダー職といっても実はいくつかの役割を兼ねています。その役割ごとにまとめてみましょう。

(1)マネジメント:マネジャー役として
 「マネジメント」というと固い印象を持ちますが、要はそのグループ(組織)が上手くいくように周りの人のお世話をすることだと考えてみてください。計画を立てたり、スタッフの配置を考えたり、指示したり、仕事を割り振ったり、あるときにはスタッフを慰めたり、褒めたり。それまでは「自分自身」がどのように仕事をするか、ということを考えていればよかったのですが、この段階に来ると、最初に考えなくてはいけないことは「自分自身(個人のする仕事)」のことではなく、「そのグループ(全体でする仕事)」のことなのです。そのグループが常に最大限に良い仕事ができる(良い状態を保つことができる)にはどのようにしたらよいのかという視点が重要になります。特に最初の段階では、時間がなくなって苦しくても、自分の都合を優先できないということから来るストレスは辛いかもしれません。また、計画を立てたり、スタッフの配置を考えたりと次々に解決をしなくてはならない事案やそのための具体的な方法についても十分に知識ややり方が分からなくてストレスを感じるかもしれません。

(2)ベテラン:仕事の熟練者として
 通常、管理者・リーダー職につくには、ある程度はその仕事自体の熟練が必要と考えられています。熟練者=管理者・リーダー職というわけではないのですが、管理者・リーダー職は熟練者(程度には差がありますが)に任せる傾向があります。特に介護場面においては、熟練者には、経験の少ない人ができないような厳しい条件や難しい状態の利用者などへの対応というものが求められます。他にも仕事があり忙しい上に、求められるのは難しい利用者の対応が多いことも事実としてあるようです。

(3)コーチ:仕事の指導者として
 熟練者でも他者への指導は一切せず、ただ淡々と自分自身の業務に身を入れる人もいます。それはそれで介護現場において非常に貴重な人材です。しかしながら、管理者・リーダー職となるとそうは言っていられません。仕事に熟練しておりかつ熟練者であるならば、部下に対して新しい、または確認が必要な技術や知識についての指導役をしなくてはならないでしょう。自分自身ができていてもそれを伝えるのはまた別な領域ですので、意外にもストレスの原因となるのです。

(4)コンタクト:連絡・調整役として
多くの場合、管理者・リーダー職は、そのグループや部署を代表して連絡会議などに出席し、自分自身のグループについての報告をしたり、他グループ・他職種との調整をしたりしなくてはなりません。また、利用者家族への日常的な連絡も管理者・リーダー職に任されるケースも多いでしょう。つまり、管理者・リーダー職はそれぞれ、別な立場の人との折り合いをつけることが求められ非常に気を使う難しい業務だということです。


多様なストレスとその対処

 以上のように、一言で管理者・リーダー職といっても、多くの役割が求められていることがお分かりいただけると思います。役割が多いということはそれだけ多くのストレスの原因があるということにもつながります。多様な原因によるストレスへの対処には共通のものとそれぞれに対応したものがあります。次回以降対処について考えていきたいと思います。

(監修:アイエムエフ研究センター)