オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「介護現場のストレスケア」その57.(メンタルヘルスと周辺事情4)

2014年10月14日

~ 長時間労働だけが労災認定理由ではない ~ 

 これまで数回のコラムで、メンタルヘルスの周辺環境(法制度等)について解説してきました。その中で「長時間労働」と「精神障害による労災認定」についての、ありがちな勘違いについて指摘しておきたいと思います。

 2006年度の労働安全衛生法の一部改正により、時間外労働時間と休日労働時間が月100時間を超える労働者に対しては、医師の直接指導が義務付けられました。現在では事業所の規模に関わらずこの制度は実施されています。この改正は、脳疾患・心疾患等と睡眠の関係が明らかとなり、それを根拠に長時間労働の管理とともに健康管理の必要性から施行となったものです。そのため、これ以降は、脳疾患・心疾患等と同様に精神障害でも労災認定されるケースは一般的に長時間労働を強いられた労働者が多いと捉えられがちです。しかしながら、実際には精神障害等の労災認定理由の過半は、長時間労働ではなく、業務上の出来事による心理的負荷が極度であると認められる事案等が占めています。(脳・心臓疾患で労災認定された事案は、時間外労働時間数が多くの要因になっています。)

 一般的に、長時間労働(時間外労働時間が月80時間を超えているか否か)が焦点の一つになっていますが、精神障害の場合、長時間労働ではない場合でも認定されるケースが多いのです。精神疾患に罹患する原因には、労働時間の長さではなく、過剰な業務の量や質、ハラスメントやいじめ・嫌がらせ、そして何より上司や同僚の支援不足など職場環境に起因するものが多く、組織としては、労働時間の管理だけでは不十分で、職員の負荷、職場環境を定期的に把握して適切な対処を行う必要があるということになります。そこには、経営側の『職場づくり』に創意工夫を惜しまない決断が必要と言えます。


(監修:アイエムエフ研究センター)