オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その1

2015年04月06日

 最新の発表によれば、4人に1人が高齢者という時代に突入しました。もちろんこれは65才以上を高齢者とした従来の(国際的・国家的な)定義ですので、長寿社会の現在とかつての高齢者を一概に「お年寄り」として一括りにはできません。また個人差も多くあります。このコーナーでは、加齢に伴う心身の変化やその意味を理解することで、広い意味の「お年寄り」と上手につきあう方法を探っていきたいと思います。毎回具体的な事柄を紹介させていただくことで、お年寄りと良好な関係を築いていくことの一助になれば幸いです。

■お年寄りのこころって、若い世代とは大きく異なるものですか?
「うちの親、年をとってしまって体の具合が悪いみたい。なんだか気弱になっているよう......」。こんな風に心配したり、不安になったりしていませんか。若い世代と比較してお年寄りのこころのあり様は否定的にとらえられることが多いようです。
これは「もう年だから......」と、どちらかというと悪いことのように表現することにもみられます。人生を登山に例えると、下山途中というふうに考えられがちです。でも、本当に年を重ねるって、山を下っていくことなのでしょうか。確かに、加齢により衰える領域もあるでしょう。視力や聴力は衰えていきますし、腰も曲がっているかもしれません。けれども、「人」を形づくっているのは、姿形から見える部分だけではありません。まず、お年寄りは人生の下り坂にいる、という発想を振り捨ててみてください。そして、自然体でお年寄りと接してみましょう。それがお年寄りのこころを知る基本です。

 普段の生活で、お年寄りの言動にイライラすることがあります。「認知症じゃない?」「何やっているの」......と。でもその一方で、子育てに悩んだり、生活に疲れたりした時に、お年寄りのやさしい思いやりのあるひと言にほっと胸をなで下ろすような経験もあるはずです。お年寄りは70年、80年、90年と長い人生経験を積んでこられました。その間には、楽しい時間ばかりではなく、身内や友人、知人などとの死別など悲しい体験もいっぱいしています。さまざまな経験を通して、自然に人との関係を円滑にすることができるなど、若い世代よりも優れた能力を身につけていることも少なくないのです。

人はその生を終えるまで、人間としての発達を続けます。年をとるということは、幼児期からおとなへと発達していくことと何ら変わらないことなのです。お年寄りのこころを下山途中ととらえるのではなく、若い世代と同じように山登りの真最中にいる、というふうにまずは発想を転換してみませんか。以下は代表的なお年寄りのこころの発達例です。

○子どもからおとなまでの役割を、「家族」というシステムの中で経験しているので、家族の 繋がりを大切にするなど「家族の機能」について知識が高まる。
○ちょっとした感情を抑制する能力や、過去の経験をもとにして、上手に人とお付き合いができる能力が高まる。
○男性、女性の役割にとらわれずに活動を楽しむ能力が高まる。(例;男性が小さな子供をあやしたり遊んだりする能力など)

(監修:アイエムエフ研究センター)