オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その3

2015年06月10日

■コミュニケーションのちょっとした心得
 お年寄りにもなるべく元気なこころでいてもらいたいと願っていますが、残念ながら肉体的には、多くのお年寄りは慢性的な病気や障害を持っています。そのため、生活に不自由を感じたり、そのことにより元気をなくしたりすることもあるでしょう。つい最近まで自分でできていたことが、できなくなってしまった時のつらさ......。自分自身にはがゆさや寂しさを感じていることも多いと考えられます。また、愛する配偶者や親友などを亡くすような場面に直面することもあります。そんな時、どんなにか悲しい思いをしていることでしょう。生活の中でさまざまな喪失感を持っているのも事実です。何もこれらの問題は、お年寄りに限ったことではないのですが、年を重ねる中で遭遇する確率が高くなるということになります。
 こういったことをすべてマイナス要因として考えると、お年寄りを精神的、身体的に欠陥をもちがちな特殊な存在と捉えてしまうことになります。でも、お年寄りは、決して特殊な存在などではありません。お年寄りは他の大人と同じではあるものの、長い人生のなかで、対処していかなければならない問題をよりたくさん抱えた存在とみることもできるでしょう。どのお年寄りもさまざまな問題に順応するために必死で努力しているのです。
 お年寄りのこころを理解することで、今までよりもずっといいコミュニケーションを築くことができます。上手なコミュニケーションがとれれば、お年寄りを元気づけることはもちろんのこと、あなた自身が明るい気持ちで毎日を過ごすことにもつながります。

■上手なコミュニケーションをとるために
 上手なコミュニケーションをとるために、関わるお年寄りの生活習慣や人生観を知っておくことがとても大切なポイントになります。
 普段、お年寄りの考え方を理解できないようなことがありませんか。 「古くさい考え」「時代遅れ」と決め付けがちではありませんか。でもちょっと考えてください。違う時代に生きてきたのですから、考え方が異なるのは当たり前のことではないでしょうか。逆にお年寄りからすれば、若い世代のことが理解できないのだと思います。若者が髪を茶や赤などいろいろなカラーに染めたり、耳ばかりか鼻などにピアスをしたり、若い女性がおへそを出して、街中を歩いたり......。お年寄りでなくても、理解しにくいことはいっぱいあります。
 私たちが生まれるずっと前に生まれ、年齢を重ねてきたということはどういうことでしょうか。例えば、今90歳以上の方々が生まれたころは、タバコは7銭で売られていました。関東大震災に遭った方もいるかもしれません。また、国産初のウイスキーが4円50銭で売り出されていました。また、多くのお年寄りは、戦争をはじめ私たちが歴史の教科書で見たようなことを体験してきたのです。
 このような時代背景を学習することで、お年寄りのこころをグンと身近に感じられるようになります。また、「牛乳は○円だったの。新聞はいくらだったの。○○小学校はいつからあったの。」など、話題をこちらから振り向けることで、とても機嫌よく話し始めることはよく見られることなのです。日々の生活は過去の延長線上にあり、「関係ない」で終わらせずに、自身が「身近な歴史やものごとの成り立ち」に興味を持とうとすることで、おのずと教養も豊かになり、お年寄りとの意思疎通も円滑になっていくのです。

(監修:アイエムエフ研究センター)