オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その14

2016年05月10日

 前回、在宅介護における家族の負担感の軽減・心の持ち方や、老親に介護保険サービスを使ってもらうための動機づけ(ヒント)について触れましたが、今回はその補足をしたいと思います。

■認知症を疑うことについて
  「自分の親が認知症?」なんて誰しも認めたくないことです。特に同居していたり、近所に住んでいる場合には却って変化に気づきにくいことも良くあります。かかりつけ医師やヘルパーさんが当人の言動の不一致から認知症を疑うきっかけになることはよくあることです。家事援助活動などでは「あのヘルパーさんが財布を持っていたようだ。ものが無くなる」などのクレーム(実は本人が認知症なのですが家族が鵜呑みにしてトラブルになるケース)は決して少なくありません。
 ところが、家族がその兆候を認めない限りは認知症の診察を受ける機会はなかなか作れません。過去に取り上げましたが、家族が気づいた初期症状を再度掲示しておきます。これらをヒントに兆候を見逃さないようにしましょう。(もちろん症状すなわち認知症という訳ではありません)

◎家族が気づいた認知症の初期症状(%)  
同じことを言ったり聞いたりする
43.9
物の名前が出てこなくなった
36.4
以前はあった関心や興味が失われた
32.7
置き忘れやしまい忘れが目立った
32.7
日課をしなくなった
14.0
時間や場所の感覚が不確かになった
13.1
だらしなくなった
 13.1
計算の間違いが多くなった
 12.1
財布を盗まれたと言う
12.1
ささいなことで怒りっぽくなった
12.1
口やガス栓の締め忘れが目立った
12.1
慣れているところで道に迷った
12.1
複雑なTVドラマが理解できない
11.2
以前よりもひどく疑い深くなった
8.4
処方薬の管理ができなくなった
7.5
夜中に急に起き出して騒いだ
3.7
いつも降りる駅なのに乗り過ごした
1.9
その他
19.5
(参考:平成7年度東京都調査結果)

■受診への動機づけ
 前回、「あなたのためだから」一転張りでなく「元気に長生きしてほしい。心配している私たちのためにも一度受診してみて」という訴えも有効なことが多いと説きました。さらにいくつか紹介します。
「行政から一定年齢の人に健康診断の案内が来ているので、一緒に行きましょう」。お年寄りはまじめな方が多いので、「行政からの案内」には効き目があります。
 あるいは、「もの忘れ」について自覚している方は大変多いので、近くに当該診療科目がある医療機関がある場合は「これ以上のもの忘れを防ぐために、もの忘れ外来にいきましょう」というアプローチは有効です。また、「もの忘れには老化によるものと病気によるもの、あるいは混ざっている場合があるそうよ。多分老化によるもの忘れだと思うけど、念のため見てもらいましょう」など、プライドに配慮したアプローチが有効です。
「認知症かもしれないからみてもらおう」というストレートな言い方は頑なに拒まれる可能性が高くなるわけです。いずれにしても「もの忘れをこれ以上進めないように」というアプローチはご本人にとつて迷惑な話ではありません。

(監修:アイエムエフ研究センター)