オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その16

2016年07月10日

 前回までに、数回にわたり在宅介護における家族の負担感の軽減・心の持ち方や、老親に介護保険サービスを使ってもらうための動機づけ(ヒント)について触れましたが、今回は介護する側のストレス問題について考えていきたいと思います。

■介護者はストレスがいっぱい。ストレスとどう付き合う?
 現実に親が認知症になったとき、教科書どおりに気持ちの切り替えができない方も多いと思います。そもそも自ら認知症のお年寄りの介護をしたいと思う人は、決して多くないと考えられます。誰だって、できれば避けたいこと。けれども、そういう事態が生じたとき、必ず誰かが介護しなければならない状況におかれます。半ば強制的に、介護はスタートします。
 その日々には、次から次へといろいろな問題が起こり、介護者はストレスでいっぱい、ということになりがちです。「なぜ、自分ばかりこんなことをしなければならないの?」と割に合わないという思いがして、悔しくて、情けなくて、苦しくて......。
 でも、そんなときはどうかひとりで悩まないでください。手をさし出せば、きっとその手を握り返してくれる味方が現れるはずです。相手は親族であったり、地域であったり、行政(介護保険/地域包括支援センターなど)などです。叩けば開かれると考えましょう。

■そもそもストレスって何ですか?
  「ストレス」という言葉を最近はしょっちゅう耳にします。中学生くらいの子どもでさえ「ああ、ストレスがたまる」などと使います。ストレスとは、例えば、ボールに圧力がかかって、ひずんだような状態のことをいいます。このとき、ストレス状態を引き起こす要因を「ストレッサー」といいます。ストレスがいっさいなくなったら、どんなにか日々の暮らしが楽しくなるだろう、とそんな生活に憧れませんか。けれども、残念ながらストレスを完全になくすということはできません。生きている限り、ストレスは存在するのです。
 なぜなら、私たちのまわりの環境はどんどん変わるからです。たとえば気温が30度を越すような日が続けば「暑いなあ」とぶつぶつ言いつつも、それに適応しようとします。飲み水が変われば、「こんな水、飲めない」と文句を言いつつ我慢するか、ミネラルウォーターを購入するでしょう。あるいは、心理的なショックを受ければ「困ったことが起きた。どうしよう」と頭を悩ませながらも何とかしようと考えます。こういうこと全てがストレスだといえるのです。
 一般的に「ストレス」がかかることは悪いことのように語られますが、良い/必要なストレスもあります。例えば、目標、夢、スポーツ、良い人間関係など、自分を奮い立だせてくれたり、勇気づけてくれたりするストレスです。良いストレスがあると、人生が豊かになります。
 ストレスとは、離れたくても離れることはできないものなのですから、なるべく上手に付き合いたいものです。

■みんな、どうやってストレス解消しているの?
 昔からストレス解消法としてスポーツや趣味、適度の飲酒、親しい仲間とのおしゃべりなど、いろいろな方法があげられます。
 では、私たち日本人は実際にどのようにストレスを解消し、気分転換を行っているのでしょう。厚生労働省が調査したものですが、男性では、30歳代前半までの若いうちは「趣味・スポーツにうち込む」、30歳代後半から60歳代前半にかけては「アルコール飲料(酒)を飲む」がそれぞれ最も多くなります。その後、60歳代後半以降は、それまでの気分転換法は減り、「テレビを見たりラジオをきいたりする」が増えます。
 一方、女性では、「人に話して発散する」が、60歳代前半までの年齢層で最も多くなっています。その後は、男性同様「テレビを見たりラジオをきいたりする」が増えていきます。
 若いころはストレス発散もいろいろな形でできますが、高齢になるとなかなか難しいというのが現実のようです。あなたはどのようにストレスを発散していますか。また、あなたのまわりのお年寄りはどのようにストレスを発散しているでしょうか。
 次回以降のコラムでは、ストレスへの早期の気づき、セルフケアの具体的な方法を紹介していきます。

(監修:アイエムエフ研究センター)