オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その18

2016年09月04日

 前回、厚生労働省が推奨する「ストレスへの早期対処」について簡単に紹介しましたが、
今回は『より具体的な方法』を紹介していきます。1つでも実践することで、介護の負担感が軽くなることが期待されます。

■体を動かしてみる
いくら若い方でも運動不足は体のためにはよくないこと。まず体を動かすことから始めて
みましょう。運動には、ネガティブな気分を発散させたり、こころと体をリラックスさせ、
睡眠リズムを整える作用があります。とくに効果的なのは、体の中に空気をたくさん取り入れながら行う有酸素運動。軽いランニングやサイクリング、ダンスなどがそれです。それでもハードルが高いなと思ったら、近所を散歩したり、緑の多い公園などで、ちょっとアクティブにすごしたりするだけでも効果があります。1日20分を目安に体がポカポカするくらい続けて見ましょう。

■今の気持ちを書いてみる
もやもやした気持ちを抱えて苦しいときは、それを「紙」に書いてみましょう。自分なりの言葉で書くことがいちばんですが、文章を書くのが苦手なら、イラストやマンガ、あるいは意味のない「落書き」や「書きなぐり」でも良いです。要は頭の中で考えるだけでなく、実際に「手を動かす」ことが大切です。書くことの効果はおもに2つ。1つは今抱えている悩みと距離をとって、客観的に見られるようになること。その結果、あせりがやわらぐので、落ち着いて物事を考えることができるようになります。もう1つはそれまで思いつかなかった選択肢に、自分で気づけるようになること。これは、書いた文章を読み直すことで得られる効果です。ノートに手書きするのが面倒なら、携帯やパソコンを使ってもかまいません。人に見せないことを前提に、自分の気持ちをありのままに書いていきましょう。

■腹式呼吸を繰り返す
不安や緊張が強くなると、運動をしているわけでもないのに、「ハアハア」と息が上がってくることがあります。呼吸も浅く、速くなり、汗が出てきて心臓もドキドキ。つらいと思いますが、こんなときこそ意識して「深い呼吸」を心がけてみてください。やり方は簡単。椅子に腰掛けている場合は、背筋を伸ばし軽く目を閉じ、おなかに手を当てます。立っている場合も、リラックスしておなかに手を当ててみましょう。呼吸の基本は「ちゃんと吐く」ことから。まずは「いーち、にー、さーん」と頭の中で数えながら、ゆっくりと口から息を吐き出します。息を吐き出せたら、同じように3秒数えながら、今度は鼻から息を吸い込みます。これを5~10分くらいくりかえします。息を吐くときにおなかがぺったんこに、息を入れたらおなかが膨らむ...。そう意識して呼吸すると、より深い呼吸ができるようになります。そう、これが「腹式呼吸」と呼ばれるものです。途中で余計な考えが浮かぶこともあると思いますが、そんなときは気にせずさっと流して、また「いーち」から数え直しましょう。

■なりたい自分に目を向ける
問題を抱えていると、その原因探しにやっきになることや、自分の弱さや欠点ばかりに目が行きがち。でも、実際のあなたは、その問題以外のことでは、けっこううまくやれていることがたくさんあるのではありませんか?その「できていること」のほうに目を向けて、自分の力をもう一度信じましょう。そして、「こんなふうになるといいな」と、今あなたが思っている理想を思い浮かべてください。それが実現したとき、自分がどんなふうになっていて、周りの人たちはどんなふうに変わっていますか?具体的なイメージが浮かんだら、その第一歩になる、小さいけれども重要と思える目標を立てて、実行します。たとえば、「大勢の人に挨拶できる自分」になりたいなら、まずは「近親者の目を見てあいさつすること」や「10分だけでも早く起きて気分に余裕をもつこと」が最初の目標になるかもしれません。実行しやすくて無理なくできそうなことから始めるのがポイントです。最初の目標をクリアできたら、自分をほめてあげましょう。こうやって、1つずつクリアしていけば、自分の力で自信を取り戻していくことができます。

■音楽を聴いたり歌を歌う
「音楽」は、ごく自然に、人のこころと体を癒してくれます。アップテンポの音楽は、エネルギーや活力を与え、優しくスローな曲は不安や緊張をやわらげます。思い出の詰まった曲を聞くと、思わず泣いてしまうことがあるように、言葉にできない感情を表現するきっかけを、音楽がつくってくれることもあります。そのときどきの気分にあった曲を選んで、音楽にひたりましょう。本を読みながらという片手間ではなく、ただ音楽を聞くことに集中するのです。歌うのが得意な人は「聞く」だけでなく、カラオケボックスなどに行って、思い切り発散してみては?歌っている間は自然と呼吸が深くなるので、不安やイライラもどこかに消えてしまうかも。何曲か歌えば、きっとサッパリするはずです。

■失敗したら笑ってみる
「笑い」はこころを軽やかにして、つらい日々を乗りこえる力をつけてくれます。どんなにシリアスに見える出来事でも、見方を変えると、笑える側面があるもの。それに気づくと、物事がグッと楽になるのです。もし失敗してしまったら、自分を責めたり恥じたりするのではなく、いっそのことそれを潔く認めて、「やっちゃった自分」を笑い飛ばしてしまいましょう。「そんなお気楽でいいの?」とか、「絶対ムリ」と思うかもしれませんが、これもユーモアのセンスを磨く、ひとつの練習だと思ってみませんか。決して悪ふざけなどとはイコールではありません。くりかえしやっていくと、バランスのよい物の見方と、広い視野がだんだんと身についてくるのです。そして何よりも「笑い」は周りの人とリラックスした関係を築くうえで、とても役に立ちます。

(監修:アイエムエフ研究センター)