オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その19

2016年10月08日

 今回は、今後お年寄りのケアに大きく変化をもたらす可能性のある「混合介護」について触れていきます。 9月に公正取引委員会が介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせた『混合介護の弾力化』を提言しました。介護事業者の自由度を増し、介護する家族にとって大きく選択肢を増やしつつ、介護職員の待遇改善も併せて進めようとする狙いがあります。これには賛否両論ありますが、以下に要点を紹介していきます。

■現状の混合介護・・・厚生労働省の見解
・保険外のサービスについて、利用者と事業者との間の契約に基づき、保険外サービスとして、
保険給付対象サービスと明確に区分し、利用者の自己負担によってサービスを提供 すること
は可能
・要介護者等が居宅サービスを利用するに当たって、 当該者の支給限度額を超えて利用する
場合について、全額自己負担によって利用することも可能
・被保険者の状況や環境に応じて保険外サービスも含めた居宅サービス計画を本人と合意した
上で策定することとなる。特に、居宅介護支援事業者による特定の民間企業に対する利益
誘導とならないようにするなど、留意が必要

■提言によって可能になること
(公取委が示す提言の具体事例)
・保険内外のサービスの同時一体的な提供
必要に応じて家族の食事(保険外)も同時に準備ができて、別々よりも低料金で効率的な
サービスを提供できる。(現状では時間を明確に区別しないと不可)
・サービスの質に応じた料金徴収
利用者が特定の訪問介護員によるサービスを希望する場合に、指名料を徴収したうえで派遣
することが可能になる。

 *同時一体的なサービスをさらに砕いて言うと、例えば1時間の本人+家族分調理で1時間当たり
介護保険1,400円、保険以外サービス2,000円とすると、介護保険で140円+保険以外サービス2,000円。
つまり2,140円を徴収することになる。家族も助かる、事業所も効率的に売り上げをあげ、職員にも還元しやすいということである。

■弾力化への賛否
 意見交換会では専門家でも意見が分かれた。すでに紹介したように事業所の創意工夫を生み、利用者の便宜も増え、売り上げ拡大・職員の待遇向上に資するという賛成意見である。経済系の新聞媒体などは賛成の意見が多くなっている。
 一方反対意見としては、高齢の利用者が複雑に組み合わされたサービスを理解したうえで選択できるか。結局高いもの交わされることになるのではないか。モラルに反した事業者が登場するのではないか。金持ちが優遇され、国民皆保険と乖離するのではないか。というものである。
どこで線引きするかは今後の課題としても、時代の方向としては混合介護の弾力化という方向に進んでいくことは想像に難くない。

(文責:アイエムエフ研究センター 榎本三千雄)