オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

「お年寄りのこころ学」その23

2017年02月10日

 前回までに実話での認知症のお年寄りへの対処事例・成功事例を紹介してきました。今回は在宅での介護の限界、施設入所への方針転換について、そのタイミングやきっかけを紹介します。もちろん施設入所については、要介護者の容態別、あるいは経済的な負担をどうするかという課題は残ります。

■介護者の体力の限界が来るケース
 介護者は実の娘Aさんで、要介護3のご本人ともに在宅介護を希望し、介護保険を活用しながら生活を送ってきました。ところがAさんの体調が徐々に悪化し(ひどい肩こりや腰痛)、ついにはうつ症状と診断されてしまいました。Aさんは正直に要介護者ご本人と家族・親族に「つらい」ことを訴えて、施設(入居費が廉価な介護付き有料ホーム)入所へと方針転換しました。実際の転居前から、先が見えたことでAさんのうつ症状は改善の方向を示し、その後は回復を遂げました。仮に在宅での生活を要介護者ご本人が望んでいても、家族に多大な負荷がかかることは要介護者にとっても本意ではないわけです。やせ我慢も一定は必要ですが、体力の限界のサインを見落とさずに、在宅から施設への方向転換を考えましょう。

■人間関係が悪いケース
 在宅介護は、介護保険制度を用いたとしても同居する家族の負担は大きいものがあります。「義務」や「義理」的な介護では、すぐに限界が来ることが多いと思われます。家族による虐待などはその悪い方の例だと考えられます。元々ぎすぎすしていた嫁と姑の関係や、実の親子でも長年仲違いをしてきて、血縁上の関係だけから引き取ることになったケースなど、無理を続けるとお互いのためにならないことが多いと言えます。

■あらかじめ施設入所のタイミングを決めておくケース
 要介護度が低く、本人が在宅を望みかつ家庭介護力もある場合、はじめのうち問題は起きませんが、要介護度の重度化に従い、家族の負担が徐々に増していきます。心身の限界が来る前に、施設入所のタイミングを決めておくのは一つの方法です。当然その家々で基準は様々だと思われます。
以下にそのタイミング例を紹介します。
・医療的な処置が必要になった時から
・本人が気に入る施設が見つかったら(施設入所に理解を示した時から)
・要介護度が「 」になったら
・失禁が始まったら
・室内のつかまり歩きができなくなったら  等々

 在宅か施設かは費用負担の問題とともに、ご本人の尊厳「どこで終末を迎えたいか」の問題でもありますので、周りで単純に決めるのではなく、できれば要介護度が軽度のうちからご本人を交えて話し合っておくことが大切です。また、勉強のために複数の施設に体験入居しておくことも有効な方法の一つです。次回は、施設選びのポイントについて解説します。

(監修:アイエムエフ研究センター)