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高齢者の家庭内事故を防ぐために1

2017年04月15日

 今回から新たに、実際に起きた事故例を題材にした『高齢者の方々の家庭内事故を防ぐための知恵や工夫』を紹介していきます。高齢者の家庭内事故死者数は意外なほど多く、平成21年の人口動態統計によれば1万人に達しています、この数字は全年齢の交通事故死者約4千8百人をはるかに上回っており、かつて「交通戦争」と言われた状況に置き換えれば「家庭内事故戦争」といっても過言ではない状況です。家庭内事故→骨折→寝たきり というパターンはとても多く、長寿で居るために、あるいは要介護度を重度化させないために、生活の工夫をしておくことはとても重要なテーマとなります。

■テーマ 入浴中の事故
-当人の状況
  男性、70才、住居形態は一戸建て
-事故の状況
夏、外出から戻ってきてシャワーを浴びていました。タイル張りの洗い場の上に「すのこ」を置いていました。「タイルは滑るから」とのアドバイスもあり「すのこ」を置いていたのですが、何かの拍子に「すのこ」自体がずれて体が大きく取られ、転倒してしまいました。あいにく、転倒した際に肘を強くガラス製のドアにぶつけたため、カラスを破ってしまい、さらに、腕を咄嗟に引き抜いた時にガラスでざっくりと切ってしまいました。十数針を縫う大けがになったものです。

■知恵と工夫
確かに「すのこ」はタイル張りの床面より滑りにくいのですが、「すのこ」が置いてあるだけでは(床面積に比して「すのこ」の方が小さいことが多いので)、転倒防止として不完全です。
やはり浴室専用の「滑り止めマット」が有効と考えられます。「滑り止めマット」は洗い場だけでなく、浴槽内にも敷いておけば、「立ち上がり時に滑ってお湯を飲んで意識を失って溺死」などの最悪のケースも避けることができます。
また、湯あたりなどでのふらつきや日常生活動作の低下を考慮して、あらかじめ浴室に手すりを付けておくことも予防策になります。湯船のふちに簡易的に取り付けられるものも数多く販売されています。
さらには転倒時の怪我のリスクを考え、ドアはガラス製でないものが良いでしょう。浴室内で転倒した際にドアの開口に必要なスペースが少ない「折りたたみ式のドア(折れ戸)」に取り換えるのも、もしもの際に助け出しやすくなるでしょう。
また、冬のヒートショックを防ぐには、あらかじめ入浴前に湯船の蓋を開けておき、
シャワーを高い位置から出しておくなどすれば、かなり浴室は暖かくなります。その際には浴室のドアを開けておいて脱衣所も温めておくと良いでしょう。予算が許せば浴室暖房を後付けすることも検討に値します。(命はお金では買えませんので)
一定の要介護状態になった場合などは(もちろん健常者の場合にも)、出入り口の段差解消のための住宅改修を検討することをお勧めします。

(監修:イーケアサポート 榎本三千雄 PT志垣健一朗)