オールライフマガジンALL LIFE MAGAZINE

高齢者の家庭内事故を防ぐために6

2017年09月15日

■テーマ 火の始末でのヒヤリ事故
-当人の状況
女性Aさん、90才、配偶者とは死別、軽度の認知症あり、息子夫婦と二世帯住宅
日常生活動作に問題なし
-事故の状況
Aさんは息子家族と2世帯住宅に住んでいます。最近物忘れがひどくなって軽度認知障害と診断され、薬を飲んでいる。本人はいたってしっかりしているつもり。ある時、ヤカンをかけっぱなしにして、ヤカンを黒焦げにしてしまいました。たまたま様子を見に来たお嫁さんが発見し大事にはいたりませんでした。その後も鍋をかけ放しにして、焦がしてしまうことがありました。

■知恵と工夫
・まずは、火事の怖さを息子夫婦と語り合い、ガス台を電磁調理器に入れ替えました。
これにより火事のリスクは大きく減少させることができます。本格的な機器は10万円以上しますが、
ホームセンターでは汎用版の置き型のタイプのものを2万円弱で購入できました。
ただし、IH用の機器でなくてはダメなことから、ヤカンや鍋、フライパンを買い換えました。

その後、安心したのも束の間、ヤカンの空焚きを目撃し、仕方なくルールとして『火を使わない』こと
にしました。
これにはひと悶着あり、話し合いに、かなりな時間と労力を要しましたが、「こんなに丈夫なのできっと
100歳まで生きられるし生きてほしい。母さんにとって怖いのは病気よりも事故だよ。しかも火事に
なったら一人でなく家族みんなの問題なってしまう。われわれ夫婦を安心させるために、火を使わない。
その代わりに食事は差し入れするし、最低月に1回は外食しよう。自分でやる調理は基本的に電子
レンジでの温めだけにしよう。その他のことは全く今まで通りだよ。100歳まで元気で生きて表彰状
もらえるよう頑張ろう。」という前向きの目標設定に納得しました。
それでも忘れてしまうので、ガスの線も止め、電磁調理器のコードも抜いてしまいました。そこには
『長生きするため火だけは使わないでください。パパ・ママよりのお願い』というシートを貼っておきま
した。息子夫婦の思いやりには弱いようです。

◆過去のコラムでも触れましたが、認知症の人に強制するのは決して良い結果を生みません。本人の
生きている世界の中で納得する理由を見つけることが大切です。
認知症に限らず、一定の年齢に達したら、電磁調理器や吹きこぼれで自動的に止まる新式のガス台
の購入を検討しましょう。金銭に代えがたい安全と安心を手にすることができます。
認知症が無い場合で、もっと簡便な方法としては、「火を付けたらタイマーを掛ける」習慣づけをする
方法もあります。
また、今回紹介したケースでは、Aさんはお嫁さんの毎回の差し入れ負担を軽くするため(本人の気分
転換もあり)週に1~2回は近所のコンビニに行ってお弁当を買ってきているそうです。

 

(監修:イーケアサポート 榎本三千雄  PT志垣健一朗)