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介護保険制度の見直しに関する意見 概要

2014年01月18日

12月20日、厚生労働省は、社会保障審議会介護保険部会における「介護保険制度の見直しに関する意見・概要」を公表した。今回の見直しは「地域包括ケアシステムの構築」と「介護保険制度の持続可能性の確保」の2 点を基本的な考え方としている。公表資料を概ねそのまま紹介するが、ポイントとしては『共助・助け合いシステムの充実』『要支援サービスと介護予防サービスの一元化』『小規模在宅サービスの地域密着型サービスへの位置づけ』『施設サービス入居の重度化条件のより一層の明確化』『高所得高齢者の費用負担増』『資産を持つ高齢者(世帯)への補足給付見直し』を挙げることができよう。

Ⅰ サービス提供体制の見直し

1.地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直し

地域支援事業について、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい良質で効率的な事業に重点化しつつ再構築するとともに、必要な財源を確保し、充実・強化を図る。

(1)在宅医療・介護連携の推進

○地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が中心となって、国と都道府県の支援の下、地域の医師会等と連携しつつ、取り組む(平成30 年度には全ての市町村で実施し、小規模市町村では共同実施を可能とする)。

(2)認知症施策の推進

○地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が「認知症初期集中支援チーム」や「認知症地域支援推進員」の設置などに取り組む(平成30 年度には全ての市町村で実施し、小規模市町村では共同実施を可能とする)。

(3)地域ケア会議の推進

○地域支援事業の包括的支援事業の一環として、地域ケア会議の実施を介護保険法に位置づけるとともに、介護支援専門員の協力や守秘義務の取扱い等について制度的な枠組みを設け、一層の推進を図る。

(4)生活支援サービスの充実・強化

○市町村が中心となって、NPO、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人等の生活支援サービスを担う事業主体の支援体制の充実・強化を図ることが必要であり、高齢者等の担い手としての養成や、地域のニーズとのマッチングなどを行うコーディネーターの配置等について、地域支援事業の包括的支援事業に位置づけて取組を進める。

(5)介護予防の推進

○居場所と出番づくりなど、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた、バランスのとれたアプローチが重要である。介護予防事業を見直し、地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組を推進する。元気高齢者と二次予防事業対象者を分け隔てることなく、住民運営の通いの場を充実する。

(6)地域包括支援センターの機能強化

○地域包括支援センターの役割に応じた人員体制の強化とそのための財源確保を図る。また、センター間の役割分担・連携の強化、市町村の委託型センターに対するより具体的な委託方針の提示、センターの運営に対する評価・点検の取組の強化を図る。

2.地域支援事業の見直しに併せた予防給付の見直し

(背景)

○要支援者は生活支援のニーズが高く、配食、見守り等の多様なニーズに応えるためには、介護サービス事業者以外にも、NPO、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人など、多種多様な事業主体の参加による重層的なサービスが地域で提供される体制の構築が重要である。併せて、高齢者が積極的に生活支援の担い手となって、支援が必要な高齢者を支える社会を実現することが求められている。

○また、地域に多様な通いの場を作り、社会参加を促進していくことは、高齢者の介護予防にとって極めて重要であるが、地域の中で多様な主体により多様な場を確保していくことが重要である。

○このため、地域支援事業の枠組みの中で介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)を発展的に見直し、サービスの種類・内容・人員基準・運営基準・単価等が全国一律となっている予防給付のうち、訪問介護・通所介護について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組を含めた多様な主体による柔軟な取組により、効果的かつ効率的にサービスを提供できるよう、地域支援事業の形式に見直す(市町村の円滑な移行期間を考慮して、平成29 年4 月までにはすべての市町村で実施し、平成29 年度末にはすべて事業に移行する)。

○事業移行後も、既にサービスを受けている者については必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とし、新しくサービスを受ける者については多様なサービスの利用を促進するが、必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とすることが必要である。

○予防給付のうち、訪問介護・通所介護以外のサービス(訪問看護、福祉用具等)は、多様な形態でのサービス提供の余地が少ないことから、市町村の事務負担も考慮して、引き続き予防給付によるサービス提供を継続することが適当である。

(新しい総合事業の内容)

○新しい総合事業の事業構成は、「介護予防・生活支援サービス事業」と、すべての高齢者が利用する体操教室等の普及啓発等を内容とする「一般介護予防事業」とする。

○介護予防・生活支援サービス事業については、以下のとおりとする。

・利用手続は要支援認定を受けて地域包括支援センターによるケアマネジメントに基づき

サービスを利用する。介護予防・生活支援サービス事業の利用のみの場合は、基本チェ

ックリスト該当で利用可能とする。

・事業費の単価については、サービスの内容に応じた市町村による単価設定を可能とし、現在の訪問介護、通所介護(予防給付)の報酬以下の単価を市町村が設定する仕組みとする。

・利用料については、地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた利用料を市町村が設定する。既存サービスに相当するサービスの利用料については、要介護者に対する介護給付における利用者負担割合等を勘案しつつ、一定の枠組みの下、市町村が設定する仕組みを検討する。

・市町村が事業者へ委託する方法に加え、あらかじめ事業者を認定等により特定し、当該市町村の一定のルールの下、事業者が事業を実施した場合、事後的に費用の支払いを行う枠組みを検討する。

・利用者個人の限度額管理を実施し、利用者が給付と事業を併用する場合には、給付と事業の総額で管理を行うことを可能とすることを検討する。

○市町村による事業の円滑な実施を推進するため、介護保険法に基づく指針で、事業で対応する際の留意点等をガイドラインとして示す。

○市町村は介護保険事業計画の中で要支援者へのサービス提供の結果を3 年度毎に検証することを法定化することを検討する。

3.在宅サービスの見直し

○在宅の限界点を高めるため、訪問介護、通所介護、訪問看護等の普及に加え、定期巡回・随時対応サービスや複合型サービス、小規模多機能型居宅介護などの更なる普及促進を図る。各サービスの見直しの中には、法改正のみならず、基準の見直しや介護報酬の改定で対応すべきものがあり、引き続き、社会保障審議会介護給付費分科会で議論を行っていく。

○小規模の通所介護については、少人数で生活圏域に密着したサービスであることから、地域との連携や運営の透明性を確保するため、市町村の事務負担の軽減を図りながら、市町村が指定・監督する地域密着型サービスに位置づける(施行時期は平成28 年4 月までの間とし、条例制定時期は施行日から1 年間の経過措置を設ける)

○住宅改修の質を確保する観点から、市町村が、あらかじめ事業者の登録を行った上で住宅改修費を支給する仕組みを導入できるようにする。

○保険者機能の強化という観点から、市町村の事務負担の軽減を図りながら、居宅介護支援事業者の指定権限を市町村に移譲する(施行時期は平成30 年4 月とし、条例制定時期は施行日から1 年間の経過措置を設ける)。

4.施設サービス等の見直し

○特養については、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化すべきであり、特養への入所を要介護3 以上に限定することが適当である。他方、要介護1・2 の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に、特養への入所を認めることが適当であり、この点については、概ね意見の一致を見た。

○サービス付き高齢者向け住宅が多く立地する保険者の保険料負担を考慮し、有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅についても、住所地特例の対象とする。また、住所地特例対象者については、住所地市町村の指定を受けた地域密着型サービスや住所地市町村の地域支援事業を利用できることとし、その費用についても事務負担に配慮しつつ市町村間で調整できるようにする。

5.介護人材の確保

○①参入の促進、②キャリアパスの確立、③職場環境の整備・改善、④処遇改善の4 つの視点から、事業者等とも連携して、国・都道府県・市町村が役割分担しつつ、積極的に取り組む。必要となる介護人材の推計を行うなど都道府県が総合的な取組を推進する。

6.介護サービス情報公表制度の見直し

○地域包括支援センターと生活支援の情報を公表制度を活用し情報発信する。また、現行の従業者等に関する情報公表の仕組みについて、円滑に事業所が情報を公表できるよう見直す。

○通所介護の設備を利用して提供している法定外の宿泊サービスについての情報公表も行う。また、地域の高齢者ボランティア等を活用して、情報公表システムを用いて利用者や家族に分かりやすく情報提供するなどの工夫も重要である。

Ⅱ 費用負担の見直し

1.低所得者の1 号保険料の軽減強化等

○消費税率の引上げに伴う低所得者対策強化等を踏まえ、基準額に乗ずる割合を更に引き下げ、その引き下げた分について、現行の給付費の50%の公費負担に加えて、公費を投入する。

○保険料負担の応能性を高めるため、標準9 段階とするとともに、調整交付金も標準9 段階を用いた調整方法に改める。

2.一定以上所得者の利用者負担の見直し

○高齢者世代内において負担の公平化を図っていくため、一定以上の所得のある方に2 割の利用者負担を求めるべきであるという点については、概ね意見の一致を見た。一定以上所得者の水準については、第1 号被保険者全体の上位20%に該当する水準という案を支持する意見があったほか、様々な意見があった。

○高額介護サービス費の負担限度額については、2 割負担となる方のうち、特に所得が高い、高齢者医療制度における現役並み所得に相当する所得がある方については、医療保険の現役並み所得者の多数該当と同じ水準である44,400 円とすることが適当である。

3.補足給付の見直し(資産等の勘案)

○経過的かつ低所得者対策としての性格を持つ補足給付であるが、預貯金等の資産を保有していたり、入所して世帯は分かれても配偶者に負担能力があるようなときに、保険料を財源とした居住費等の補助が受けられることについては、在宅で暮らす方や保険料を負担する方との公平性の確保の観点から課題があるため、可能な限り是正していくことが必要である。

○預貯金等については、本人と配偶者の貯蓄等の合計額が一定額を上回る場合には、補足給付の対象外とすることで概ね意見の一致を見た。具体的な実施方法については、本人の自己申告を基本としつつ、補足給付の申請に際し金融機関への照会について同意を得ておき、必要に応じて介護保険法の規定を活用して金融機関への照会を行うこととするとともに、不正受給の際の加算金の規定を設けるなどして適切な申告を促す仕組みとする。

○預貯金等の基準としては、単身で1000 万円超、夫婦世帯で2000 万円超という基準は妥当である。

○不動産については、事業を実施する上での課題を更に整理するとともに、市町村が不動産担保貸付の業務を委託することができる外部の受託機関を確保することが必要であり、引き続き検討を続けていく。

○世帯分離をしても配偶者の所得を勘案する仕組みとし、配偶者が住民税課税者である場合は、補足給付の対象外とすることが適当である。

○補足給付の段階の判定に当たって、遺族年金や障害年金といった非課税年金も収入として勘案することが適当である。

(参考資料:厚生労働省)