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「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」が報告書で改革の方向性を示す

2014年07月15日
 

 7月4日、厚生労働省社会は、「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」の「報告書」を公表した。「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」は、現行の社会福祉法人制度の抱える諸問題を整理し、社会福祉法人が福祉の重要な担い手として地域住民、国民の期待に応える存在であり続けるための改革案を検討するために設けられた検討会であり、本報告書は、検討結果を踏まえ、社会福祉法人制度の改革に向けた方向性と論点を示したものである。以下に検討会の改革の方向性・意見を抜粋して紹介する。

1.地域における公益的な活動の推進

ア 地域における公益的な活動の枠組み
(地域における公益的な活動の実施義務)

○ 社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人の役割として、地域における公益的な活動は全ての社会福祉法人において実施される必要がある。全ての社会福祉法人に実施を求めるためには、法律上、実施義務を明記することを検討すべきである。

(地域における公益的な活動の定義)

○ 地域における公益的な活動について、どのようなものがその活動に当たるのかということについては、地域性を考慮することや、多様な支援が可能となるよう、規定の在り方について更に検討を深めるべきである。

○ また、地域における公益的な活動は、地域の多様なニーズに柔軟に対応するために、社会福祉法人の自主性が尊重される仕組みとすべきである。特に、現行の社会福祉法人の公益事業のように国が事業を例示すると、所轄庁の画一的な指導を招き、活動内容が例示事例中心になってしまうなど、かえって真に地域ニーズに沿った事業展開ができなくなるおそれがあることに留意する必要がある。

 このため、地域における公益的な活動の内容については、①地域住民の代表、福祉・医療等の専門職、地方公共団体の職員などから成る協議会による評価を活用する仕組みや、②市町村の策定する「地域福祉計画」等地域で必要とする支援や福祉サービスの基盤整備の方針等の活用など、具体的に各地域で定められる仕組みとすることが考えられる。

イ 地域における公益的な活動の実施方法
(複数法人による活動の協働化等)

○ 地域における公益的な活動は、制度に則った事業とは異なり、財源問題を含め、様々なリスクや困難を伴うことも想定される。このため、

① 法人単独で行う方法だけでなく、複数の法人が活動資金を出し合ったり、一体的な組織を構成したりすること等により事業を展開すること

② 社会福祉法人だけでなく、地域住民を対象にして活動するボランティア、NPO等の公益法人を支援しながら、連携して地域における公益的な活動に取り組んでいくこと  を積極的に推進するべきである。

ウ 地域における公益的な活動の実施促進
(資金使途の弾力化)

○ 社会福祉法人の資金としては、事業の運営費として、「介護報酬」、「自立支援給付費」、「保育所運営費」、「措置費」等があるが、「保育所運営費」、「措置費」については、行政から支弁される委託費という性格上、法人本部への支出に上限があるなどの使途の制限があるため、これらの使途の弾力化については、その性格を踏まえ検討するべきである。

(独自財源の確保の推進)

○ 社会福祉法人が、住民から寄附を受けるに足る信頼性の確保と、住民にとって寄附の効果が見える取組を実施することを前提に、積極的に寄附を募っていくことを推奨するべきである。

(事業ごとの法令上の制約の見直し)

○ 地域における公益的な活動の実施に当たっては、各事業における職員や設備に関する規制が支障となることがあるので、既に実施している社会福祉事業に支障のない範囲で、かつ、さらに地域における公益的な活動を積極的に実施できるよう、これらの規制の柔軟化について検討するべきである。

2.法人組織の体制強化
ア 法人組織の機能強化
(法人組織の権限と責任の明確化)

○ 社会福祉法人の理事会と評議員会、理事長、理事、監事等の牽制関係について再度整理を行い、それぞれの役割について、公益法人制度改革の内容を十分勘案した上で、明確化を図るべきである。

○ 検討に当たっては、次の観点が同時に果たされるよう留意すべきである。

① 社会福祉法人が積極的に新規事業に投資し、地域における公益的な活動を柔軟に行うために、理事等の執行権限とこれに応じた責任を明確にすること

② 理事会、評議員会や監事、行政による指導監督といった重層的なチェック機能の役割分担と具体的な連携を図った上で、理事等の執行機関の活動を適切にチェックすること

③ 非営利法人としての法人の活動を外部・地域に対して「見える化」し、第三者の目による点検や評価をいつでも可能とするなど、法人活動の透明性と信頼を高めること。

イ 法人本部機能の強化方策
(法人本部機能の強化)

○ 社会福祉法人が法人単位での経営を推進するためには、法人単位で経営戦略、人事、財務を管理する部門が必要である。このため、一定規模以上の法人には、理事会の下に法人本部事務局を設置するなど、組織の見直しを検討するべきである。


(法人単位の資金管理)

○ 法人本部がその機能を発揮するためには、法人本部が各事業の剰余金やその他の独自財源等をもとに、新規事業の立ち上げや不採算部門への充当を企画・立案できる仕組みが必要である。

このため、資金管理を施設単位から法人単位とすることを検討するべきである。
3.法人の規模拡大・協働化
ア 規模拡大のための組織体制の整備
(合併・事業譲渡手続の透明化)

○ 社会福祉法人の合併・事業譲渡が公正に行われるよう、合併・事業譲渡を行う場合の要件や手続の見直しを検討するべきである。その際、所轄庁が異なる法人同士でもスムーズに合併・事業譲渡が行えるよう、所轄庁に対する手続の周知を十分行うべきである。

○ また、合併・事業譲渡等に際して、関係者間で多額の現金をやりとりすることや、地位を利用して利益を得ることは、社会福祉法人の非営利性に反し、地域住民等からの信頼をも失墜させるものであって、決して許されるものではない。このようなケースについては、厳正に対処するものとし、役員解職勧告や贈収賄罪の対象となることに加え、解職後も他の社会福祉法人の役員となることができないようにするなど、制度や運用の見直しを検討するべきである。

イ 複数法人による事業の協働化
(法人間の役職員の相互兼務)

○ 法人の理念等を共有する観点から、各法人の役職員の人事交流を図ることが有効である。経営者については、それぞれの法人の理事を兼務できるよう、必要な規制緩和を検討するべきである。その際、いわゆる「乗っ取り」などの不適切な事例を誘発する結果にならないよう、先に述べた評議員会等による点検の仕組みの導入と併せて検討するべきである。

(法人外への資金拠出の規制緩和)

○ 社会福祉法人は、事業から生じた剰余金を法人外へ拠出することができないものとされているが、社会福祉事業や地方公共団体が認定した事業については拠出できるよう、非営利性を失わない範囲で、規制緩和を検討するべきである。

(社団的な連携)

○ 社会福祉法人やそれ以外の非営利法人が協働して地域で多様な福祉活動を積極的にするために、複数の非営利法人が社団型の社会福祉法人を設立できる仕組みを検討するべきである。

○ 社団型の社会福祉法人に評議員会を設置することにより、より客観的な地域のニーズを反映する仕組みを検討するべきである。

4.法人運営の透明性の確保
ア 社会福祉法人の財務諸表等の公表
(財務諸表等の公表の義務化)

○ 法人運営の透明性を確保するため、法人の運営状況や財務状況(以下「財務諸表等」という。)については、2014(平成 26)年度以降(平成 25 年度決算分以降)、全ての社会福祉法人において、ホームページで公表すべきである。また、所轄庁においても所管する法人の財務諸表等を全て公表するべきである。社会福祉法人の財務諸表等の公表については、法律上の義務とすることを検討するべきである。

(財務諸表等の様式の統一化)

○ 国民に分かりやすく情報提供する観点から、法人によって公表項目に差が出ないよう、財務諸表等の公表様式について、統一的に定めるべきである。

(剰余金の使途・目的の明確化)

○ 剰余金を具体的な使途もなく積み立てることは、事業の利益を社会福祉事業や地域に還元する非営利法人としての使命が果たされている状態とは言えない。剰余金については、目的を持った積立金として整理することや、積み立ての目標や積立額について、法人が利用者や地域住民など広く国民一般に説明責任を果たす仕組みを検討するべきである。

5.法人の監督の見直し
ア 所轄庁の法人監査の見直し
(行政による監査、外部監査、第三者評価等の役割の整理)

○ 法人監査、施設監査、第三者評価、介護サービス情報の公表制度など、法人活動の評価方法は多様である。これらの制度の運用が、法人にとって過度な負担とならないよう、項目の重複や時間的な隔たりがないよう、それぞれの役割を明確にするとともに、実施方法の配慮など工夫すべきである。

○ 法人監査については、運営状況に係る監査と財務に係る監査を峻別し、財務に係る監査については、外部監査の活用を積極的に図るなどの見直しを検討するべきである。

(法人監査の仕組みの見直し)

○ 法人監査の中で、定款の内容や理事会等の開催状況だけでなく、地域における公益的な活動の実施状況やサービスの質の向上への取組も確認するなど、監査の仕組みの変更を検討するべきである。

(法人の設立認可の要件の見直し)

○ 社会福祉法人の設立認可は、現在、資産だけを基準にしているが、現行の資産要件に加えて、NPO等における事業実施やボランティア等での活動実績を重要な要件とするなど、福祉への実績あるいは関心・理解のある者が参入できる仕組みとなるよう見直しを検討するべきである。

イ 財務に係る外部監査の活用等
(外部監査の義務化)

○ 一定の規模以上の社会福祉法人については、公認会計士等の専門家による外部監査を義務付けることを検討するべきである。

ウ 所轄庁の連携、監督能力の強化
(所轄庁の連携)

○ 社会福祉法人の所轄庁の権限移譲が更に進むことを踏まえ、社会福祉法人の所轄庁と当該社会福祉法人の運営する事業所が所在する地方公共団体との連携の仕組みを検討するべきである。

エ 第三者評価の受審促進
(受審促進のための方策)

○ 第三者評価の受審促進のため、所轄庁に提出する事業計画書に受審の有無の記載をさせるなど、法人の自主的な判断によって、多くの法人で第三者評価の受審が進むよう具体的な方策を検討するべきである。

○ また、第三者評価の受審結果については、利用者等が見られるよう、事業所の玄関に掲示することや、各法人の受審状況を都道府県単位で一覧できる仕組みを検討するべきである。

 (参考:厚生労働省資料)