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介護保険制度改定のポイントと今後の動向

2015年03月08日

 2015年度の介護保険制度改定の内容が確定した。大きな話題を呼んだことは「介護報酬の引き下げ(▲2.27%)」である。引き下げは9年ぶりである。国側は「儲けすぎている事業者がいる」という理由を引き合いに出しての引き下げであるが、認知症をはじめ介護問題が取り沙汰されているなかで批判も多くある。一方で、業界水準として低い賃金水準にある介護現場の賃金に配慮して、1万2千円の処遇改善加算も盛り込まれている。また、低所得者層への負担配慮も盛り込まれている。いずれにしても介護保険制度スタート時から3倍近くになった介護給付費を抑制する意図を明確に読み取ることができる。ここでは具体的な改定のポイントを抜粋して解説し、かつ今後の方向性を見ていきたい。

■2015年度改定のポイント

1.サービス利用負担額の引き上げ(1割→2割 *一定以上所得者対象)
これまで一律1割に据え置いている利用者負担について、相対的に負担能力 のある一定以上の所得の方の自己負担割合を2割とする。

・自己負担2割とする水準は、モデル年金(厚生年金)や平均的消費支出の水準を上回り、かつ負担可能な水準として、被保険者の上位20%に該当する合計所得金額160万円以上の者(単身で年金収入のみの場合280万円以上)を想定している。厚生労働省は現在の在宅サービス利用者の約15%、特別養護老人ホームの入居者の約5%が2割負担になるとみている。

今後については、一律2割負担になっていくと捉えるのが自然である。今回の改定はその前哨戦と捉えることもできよう。

・補足給付の見直し
平成17年から特別養護老人ホーム等にかかる費用のうち、食費及び居住費 は自己負担が原則となっているが、低所得者に関しては補足給付を行い負担 を軽減している。今回の改定からは預貯金もチェックし、たとえ所得が低くても、単身で1,000万円、夫婦で2,000万円を超える預貯金を持つ者は、補助の対象から外されることとなる。
ただし、自己申告に基づく方法で調査が行われるので、実効性には疑問が残る。

2.高額介護サービス費の上限が引き上げ
介護サービスは要介護度ごとに、1カ月の1割負担で利用できる上限額が決まっている。例えば、要介護5なら約36万円だが、自己負担割合は1割のため、月の自己負担額は約3万6,000円となっている。しかし、年金収入が少なかったり、夫婦で介護サービスを利用していたりすると、家計の負担が重くなることもある。こうしたときに役に立つのが「高額介護サービス費制度」。公的医療保険における「高額療養費制度」同様に、所得に応じて1カ月の自己負担限度額が決まっていて、それを超えると払い戻される仕組みになっている。

・「高額介護サービス費」では、一般の課税世帯の限度額は月3万7,200円であるが、2015年8月から新たに所得区分が1つ増え、公的医療保険制度で現役並み所得(単身で年金収入のみで383万円以上、2人世帯で同520万円以上)に相当する人がいる世帯は、「高額介護サービス費」による自己負担限度額が従来の3万7,200円から4万4,400円へと引き上げられる。

       高額介護サービス費制度における自己負担限度額

区分

自己負担限度額

現役並み所得

44,400円

一般

37,200円

市町村民税世帯非課税等

24,600円

 

年金収入80万円以下等

15,000円(個人)

生活保護被保護者等

15,000円(個人)等

(参考資料:厚生労働省)

3.低所得層への保険料負担軽減
1号被保険者(65歳以上の高齢者)が支払う介護保険料は保険者(市町村)によって基準額が異なるが、所得が低い人は段階的に保険料が軽減される仕組みになっている。この軽減率が2015年4月から拡大される。
軽減の対象になる人は、世帯全員の市町村民税が非課税か、本人が非課税であることが前提。対象となれば次のように保険料負担が軽くなる。

       介護保険料軽減の対象者と軽減率

2015年3月末までの保険料

2015年4月以降の保険料

生活保護被保護者、世帯全員が市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者等

基準額×50%

基準額×30%

世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円以下等

世帯全員が非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下

基準額×75%

基準額×50%

世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入120万円超等

基準額×75%

基準額×70%

(参考資料:厚生労働省)